食料危機
小麦、米、トウモロコシの急激な価格高騰は、近年中に実を結びつつあった貧困対策や、すでに遅れ気味のミレニアム開発目標(MDG)達成を脅かす出来事です。この食糧危機は、1億人もの貧しい人々をさらなる貧しさに落としいれ、世界的な貧困撲滅運動による過去4、5年分の努力が無駄になると世界銀行が予測しています。
国連世界食糧農業機関(FAO)は、ここ9ヵ月の間に食品の価格が45%も上昇し、世界的規模で米、小麦、トウモロコシの不足が深刻化すると予測しています。2005年以来、主食の価格は8割も高騰しており、小麦の価格は過去28年での最高値、米の価格は過去19年での最高値を記録しています。価格高騰の背景には、人口の増加、食事に対する嗜好の変化、バイオ燃料の需要増、頻繁な洪水や干ばつ、貿易の不均衡、エネルギーや輸送費の価格上昇などがあげられます。
最貧国を直撃
食糧価格の高騰は、収入の約半分を食費に充てている世界の貧困層に大きな打撃を与えています。このままの状況が続けば、貧困と栄養失調の二大危機をいっそう悪化させてしまうでしょう。乳幼児の約半数、および妊産婦の2割以上が、すでに栄養不足が原因で亡くなっています。飢餓と栄養失調は経済的生産性と深い相関関係にあるため、教育普及や疫病撲滅に向けたこれまでの努力が、食糧価格の高騰で水泡に帰する可能性も大きいといえます。
都市部を中心に影響が出てきている食糧価格の高騰は、世界の最も貧しく脆弱な国々において社会不安を引き起こしています。ロバート・ゼーリック世界銀行総裁は、33の国が食糧高による社会不安に直面する可能性があると警告しています。
未来に向かって─貧困の終焉には農業への投資が必須
福田総理は食糧事情に関わる緊急事態を7月のG8サミットで取り上げることを表明し、潘基文国連事務総長も現状を解決するための特別委員会を設置すると発表しました。
短期的には、国連世界食糧計画(WFP)が既存の計画実施に必要としている7億5,500万ドルを速やかに提供することが求められています。しかしながら食糧支援だけを増やすことで世界レベルの貧困や栄養失調が解消されるわけではありません。食品価格全般の上昇は今後長引くという予測も出ています。深刻化しつつあるこの問題に対応するため、特にアフリカにおける農業の生産性向上に向けて、世界は努力しなくてはなりません。
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