気候変動
気候変動がアフリカの作り出した危機でないことは明らかです。しかし地球温暖化は、不均衡な形で特にアフリカの貧困国に打撃を与えるでしょう。G8諸国の人口は世界の13%に過ぎませんが、世界の40%の温暖化ガスを排出しています。一方、アフリカには世界人口の11%にあたる人々が住んでおり、温暖化ガスの排出量は世界の3%。これは人口一人当たりに換算すると、世界で最も低い数値です。
気候変動はアフリカが作り出した危機ではありませんが、アフリカの中でも特に貧しい人々が最も早い段階で一番大きな被害を受けることがわかっています。その影響は以下のような形で現れてきます。
- 農業に適している地域では、耕作期間や収穫量の減少が予想されます。国によっては2050年までに収穫が半減し、2010年までに農作物による収益が9割も減る可能性があります。
- 気候変動は干ばつや洪水などの極端な気象現象を呼び起こし、その影響は破壊的なものです。干ばつの時期にエチオピアで生まれた子どもは、栄養失調になる確率が36%も高いといわれます。2005年の干ばつ以降、200万ものエチオピアの子どもが栄養失調になりました。対策が遅れると、気候変動によりさらに8,000万人から1億2,000万人もの人が飢餓状態に陥る可能性があります。飢餓に見舞われる人の7割から8割はアフリカに住む人々です。
- また2020年までに、アフリカ大陸に住む7,500万人から2億5,000万人もの人々が気候変動によるいっそうの水不足にさらされるでしょう。ケニア北部ではここ50年の間、年間平均降水量が徐々に減り続けています。干ばつが増えると、水を汲むために女性はより遠くまで歩いていかなくてはなりません。その距離は、1日で10キロメートルから15キロメートルにも上ります。
- 非常に生産的な生態系を構築し、観光や漁業といった経済活動の重点を形成しているのはアフリカ湾岸地域です。しかし合計7,000万人の人々とアフリカ湾岸地域のインフラの3割が、2080年までに海面上昇を原因とする洪水に見舞われる可能性があります。例えばケニアでは海面が1メートル上昇すると、マンゴー、カシューナッツ、ココナツなどが被害を受け、その損失額は5億ドル近くになる見込みです。
- 気候変動は、気温の上下や栄養不足といった要因を通して、人の健康にも影響を与えます。従来はマラリアの発生地ではなかったエチオピア、ケニア、ルワンダ、ブルンジなどの高原でも、2050年代までにマラリアが急激に発生する可能性が出てきました。2080年までに、世界中で新たに2億6,000万人から3億2,000万人もの人がマラリア感染地帯に暮らすことになります。
- 気候変動は森林の生態系にもさらなるストレスを与えます。観光客にとって魅力的な野生保護地区や国立公園といったアフリカの名所が被害を受けるかもしれません。研究によると、2080年までにシマウマなど哺乳類の25%から40%が絶滅あるいは絶滅の危機にさらされ、2085年までにはアフリカ原産の植物5000種類が大幅な植生地の減少に見舞われることが指摘されています。
気候変動への対応
2008年、気候の変動がサハラ砂漠以南のアフリカ貧困国に与える打撃について、各国指導者が様々な世界レベルの交渉で議題にあげる機会はかつてないほどに豊富です。
気候変動に対応するには、以下の二つの面から行動を起こさなくてはなりません。
- 軽減─G8諸国およびその他の先進国は、地球の気温が産業革命以前と比較して摂氏2℃以上上昇しないよう行動を起こす必要があります。2050年までに排気ガスの量を1990年の2割に削減し、2020年までに全エネルギーの2割を再生可能なエネルギー源から調達することを義務付ける、積極的な温暖化ガス削減の枠組みに合意しなくてはなりません。
- 適応─国連開発計画(UNDP)の人間開発報告書は、貧困国が気候変動に適応するため、2015年までに年間860億ドルの出資が必要になると見込んでいます。広く認知されている汚染者負担原則に基づき、G8は最も貧しく脆弱なコミュニティーが気候変動に適応できるよう、資金を提供すべきです。
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