G8のアフリカに対する公約
国別公約達成の軌道上にいる国がある中、イタリアとフランスによりG8全体として公約不履行となる可能性
- G8の援助、質・量ともに向上するが、イタリアとフランスが進展を脅かす。
- より賢い(SMART)援助が、エイズ、マラリア、識字率などで効果発揮。
- 負債帳消し成果あげるが、貿易の公約守れず。投資促進は小幅な前進。
- 新たな努力が必要。明日のイタリアでのG8財務大臣会合から始まる。
ビル・ゲイツ、ボブ・ゲルドフ、フランソワーズ・ンダイーシーミェ博士、アルンマ・オテ、デズモンド・ツツ大司教がロンドンでの記者会見にてONEの2009年DATAレポートを発表。
昨年、G8の何カ国かは、極度の貧困撲滅のために2005年にグレンイーグルズ・サミットで公約したアフリカ向け援助を達成するための力強い進展を遂げましたが、イタリアとフランスの2カ国の実施状況があまりにも不十分なため、G8全体として失敗に終る可能性があることが、世界規模のキャンペーン団体ONEが今日リリースした2009年DATAレポートで明らかになりました。
2008年政府対外援助(ODA)データの分析によると、2010年までにアフリカ向けに約束された追加支援額のうち、G8全体として拠出された額は3分の1に過ぎません。一方、公約された2005年から2010年の期限まではすでに3分の2の期間が経過しています。ONEの推定では2009年末までに公約の約半分がG8全体として支出される見通しであり、不足分の約80%がイタリア、フランスに原因があることがわかっています。2010年の一年間でG8は残りの半分を補わなくてはなりません。
レポートでは、今までの投資アフリカにおいてがかなりの成果があがったと報告しています。例えば、ルワンダ、エチオピア、ザンビアではマラリアによる死亡率が半数以下になり、約300万人がエイズの救命治療を受け、3400万人以上の児童が新たに就学できるようになりました。
以上のような事実が本日ロンドンでの記者会見で強調されます。記者会見には、ゲイツ財団の会長であるビル・ゲイツ、貧困撲滅運動活動家およびONEのアドバイザーであるボブ・ゲルドフ、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバル・ファンド)ジェンダー分野のシニア・アドバイザーであるフランソワーズ・ンダイーシーミェ博士、アフリカ開発銀行法人向けサービス副総裁のアルンマ・オテ、ONEの後援者であるデズモンド・ツツ大司教がパネリストとして出席します。会見の総合司会はONEの専務取締役ジェイミー・デゥラモンドが務めます。
デズモンド・ツツ大司教の発言:
「貧しい人々への約束は特に神聖なものです。約束を果たす全ての努力がなされた時、それは慈悲の行為となり、またすばらしいリーダーシップとなるのです。ですから、率先して最も貧しい人々を援助している主要8カ国は、その名声に値するのです。しかし、私達は、それらの国が本当にその名声に値するか厳しく判断する必要があります。イタリアとフランスのような大国が誤った方向を向いているのが悲しく、また遺憾でもあります。今度のG8サミットがより良いものとなり、正しいことが行われるよう、私達は行動を起こす必要があります。」
ゲイツ財団会長 ビル・ゲイツ氏の発言:
「アフリカにおけるこれまでのマラリアとHIV・エイズに対する成果は画期的なものです。今後もこのような成果が続くよう当財団は全力を務めます。英国やドイツのように、すべてのG8諸国が約束を履行し、より良い成果に向けて前進するよう願っています。貧しい国の人々がより健康に、より生産的な生活できるよう、これまでの国際保健および開発に対する投資を基にさらに積み上げていくことが不可欠です。」
ONEのDATAレポートでは、2005年のG8の公約の進捗状況を年ごとに追い報告します。その公約とは、2010年までに援助を倍増しアフリカの極度の貧困を軽減すること、援助の質を改善すること、アフリカの債務負担を緩和し、アフリカ大陸の成長に重要な鍵となる貿易や投資の活性化を支援することです。また、当レポートでは、各国政府との協議をもとに今後の政策および拠出見込みを予測しています。
レポートは、保健、教育、農業、水・衛星の各分野の援助フローのモニタリングも実施しています。保健プログラムで最も顕著な増額が見られ、比重以上の支援額をした国があった一方、G8全体としてはこれらすべての分野で目標達成の軌道から遅れをとっています。
2009年と2010年を通して、再び軌道に乗ることは可能ですが、そのためにはあらゆる機会をとらえなければなりません。7月8日~10日にラクイラで開かれるG8サミットに向けて開催される、本日ローマでのG8開発大臣会合、明日レッチェでのG8財務大臣会合から行動を起こす必要があります。
米国、カナダ、日本は公約を果たす、または上回る。英国とドイツはより意欲的な目標を果たす努力をする。
米国、カナダ、日本がグレンイーグルズで定めた目標は比較的控えめなものでしたが、その目標の達成、または2010年までに目標を上回る見通しとなっています。とはいえ、2010年の議長国であるカナダが、最近マラウィやルワンダなど特定のアフリカ諸国に対する援助を削減したのは懸念されます。G8中で最も意欲的な目標を立てている英国とドイツは、目標達成に向けかなりの進展を見せています。英国は国民総所得(GNI)比0.7%の援助拠出目標の達成に向けて2013年までの明確かつ透明なスケジュール計画を設定しています。
フランス:援助をカット、公約を果たせそうにない状況
約束したアフリカへの援助増額には程遠く、フランスがアフリカへの援助を昨年カットしたことを概算数値が示しています。フランス政府との協議の上で入手した今後2年間の予算案では今年の削減分を補うには不十分です。2008年に初めてフランスは、対アフリカ援助の量においてドイツに追い抜かれました。
イタリア:G8中、最低の貢献度。G8財務大臣会合の直前に信頼性が問われる。
イタリアの公約に対する貢献度はG8の中で飛びぬけて悪いものです。ベルルスコーニ首相が2005年にグレンイーグルズでの公式声明で署名したアフリカへの増加援助分のわずか3%しか、現在イタリアは支出していません。イタリア政府との協議の結果では、今後の援助は増加ではなく、削減する予定だということが明らかになりました。このイタリアの実績は今年のG8議長国としてのイタリアの信頼性が疑われます。
ボブ・ゲルドフ氏の発言:
「哀れな、かわいそうな国、イタリア。貧しい人々から盗み、病に苦しむ人々から搾取し、若い人々から教育を取り上げるほど、経済が悲惨な破たん状況にある。これは想像しがたいだけでなく、最も美しい国イタリアの魂を吸い取ってしまうほどの事実ではないだろうか。恥を知りなさい。あなた方の政府は国家の名を汚しています。」
より賢い(SMART)援助が目覚ましい結果を生む
G8の開発援助をより効果的にまたアフリカ諸国のニーズに対応したものにするという約束には幾分進展が見られます。これは、2008年9月に合意された援助効果向上に関する「アクラ行動計画」の導入、「International Aid Transparency(国際援助の透明化)」および「Publish What You Fund」のイニチアチブにより実現しました。しかし、これらの行動は今すぐ加速される必要があります。
2009年のDATAレポートによると、さらに重要なことは、アフリカの効果的な指導力との二人三脚により、適切な目標をかかげた「賢い(SMART)援助」が、アフリカの多くの国で大きな成果を挙げたことです。詳細およびアフリカからのケース・スタディはwww.one.org/smartaid(英語)をご覧ください。
世界エイズ・結核・マラリア対策基金 フランソワーズ・ンダイーシーミェ博士の発言:
「ここ数年、私の母国ブルンジを含めアフリカの国々は、援助の流れが増大し、かなりの恩恵を受けています。多くの国では、幼児死亡率の低下や治療を必要とする何百万もの患者へのエイズ治療薬の配給など、援助を有効に利用しています。これらの保健への投資により、アフリカは将来の発展に向けた基礎を築いています。私達は、効果的なリーダーシップを支援すると、援助が成果をあげるという生きた証拠なのです。」
今、アフリカは世界的な経済危機と気候変動という新たな課題に直面しており、今まで以上に資金が必要です。このような危機はアフリカが生み出したのではないにも関わらず、経済成長を激減させ、さらにアフリカ大陸に培われてきた重要な進歩が損なわれる危険性もあります。グローバル危機の結果、国際通貨基金 (IMF) は、2009年のアフリカの経済成長率が当初予測した6.7パーセントから1.7パーセントに減少する可能性があるとしています。
貧困撲滅に向けて進展するためにはアフリカ各国のガバナンスの質も不可欠な要素です。ONEは今年のDATAレポートの作成に当たって、アフリカ政府の貧困対策への努力を測定する前国連事務総長コフィー・アナン氏のアフリカ・プログレス・パネル(APP)と連携しました。6月10日にAPPの調査報告書はケープタウンで公表され、ここからアクセスできます:www.africaprogresspanel.org(英語)。
G8、貿易に関する公約を果たせず
G8は全体にわたって、「アフリカに役立つ貿易をする」という公約を守れていません。この公約は貧困撲滅対策において極めて重要です。WTOドーハ貿易協定が合意に至っていない事実、また、EUの経済連携協定 (EPAs) などの動きは進展の可能性をむしばんできました。しかし、民間投資をもっと利用しようとするアフリカの努力を支援するといった、ささやかな進歩があったこともレポートは伝えています。
アフリカ開発銀行 アルンマ・オテ氏の発言:
「世界経済危機は、何十年間の間で徐々に積み上げてきたアフリカの社会、経済、政治改革の流れを再び後退させています。近年の進捗を持続させるためには、アフリカは今後もガバナンスと貿易に力を注ぐ必要があります。将来の経済発展の基盤構築のために、インフラ向けの年間500憶ドルを含む年間1200億ドルの投資が必要とされています。G8による賢い援助フローに対する約束は重要な資金の調達を支援し、ミレニアム開発目標の達成に向けた努力に寄与します。」
G8は債務帳消しを実施するも、不況が新たな債務リスクを呼ぶ
貧しい国々の債務帳消しに関して、G8は公約を順調に果たしていますが、景気後退が発展途上国に新たな累積債務危機を引き起こす恐れがあります。これは、G8および篤志家が約束した援助を守り、慎重な手順を採用し新たな債務を管理しなければなりません。
2010年-そしてさの後に向け新たな努力必要
G8は約束にできるだけ近づくために2009年~2010年に努力を倍加しなければなりません。また、G8は全てのパートナーと共に、特にアフリカの市民社会や民間セクター、そして民主的に選出されたアフリカの指導者達からの意見をよく聞き、アフリカ独自の持続可能な開発計画への支援に取り組み直す必要があります。史上初めてのアフリカ大陸におけるワールドカップを控える2010年は、世界中の注目がアフリカにあつまります。ミレニアム開発目標の達成期限である2015年に向けた弾みとなるような新たな計画が不可欠です。
デズモンド・ツツ大司教の発言:
「アフリカの開発はアフリカ市民、つまりアフリカの市民社会や民間セクター、そして民主的に選ばれた政府が主導するべきです。私達の貧困と不正との闘いのための海外からの支援は歓迎しますが、今は私たち自身が断固として主導権を握る時です。さらなる努力を促し、アフリカ市民に何を本当に求めているかを問い、自分達のリーダーに責任を負わせる権限を市民に与え、アフリカが極度の貧困と気候変動の状況下で貧困を撲滅し不正と闘うのを最善の方法で支援するよう国際社会を導くことを望んでいます。」
2009年DATAレポート電子版(英語)はこちらからアクセスできます>>
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